こんにちは、イグルスキー米山です。
きょうは秘境の山旅から、白山北方稜線のイグルー山行の話です。
飛騨、加賀、越中の三国境は笈ヶ岳、深山です。
笈ヶ岳という山は、登山道が無いのに名峰として知られる山です。ちょうど三国(三県)の境で、どこからも遠い。北アルプスに負けないくらい長い白山の山脈の中で、白山本峰に次いで存在感を放つ山です。しかも山頂には、8世紀やそこらの古い白山信仰の修験道の残した仏具があったといいます。
こういう奥深い山へは、雪で藪が埋もれた時期にイグルーで迫るのがイグルスキーのやり方です。富山県境川ダムの脇の尾根から入山して31km、飛騨の白川郷まで3日間です。
初日はミゾレ、ずぶ濡れになりながらイグルー作る
4月上旬でミゾレの中稜線へ。稜線はマイナス4℃。ブロックを適当に乗せればくっつくという楽勝な雪コンディションで、30分ほどで2人用イグルーを立てる。体はずぶ濡れだけど、4月はこんなもの。
二日目は好天。大山脈を南下する。
マイナーな山名が多いけど、一応10の山頂を縦走する。どれも修験や山人が名付けた古い名前だ。
大門山だいもんざん(1572m)、赤摩木古山あかまっこやま(1501m),見越山みこしやま(1621m)、奈良岳ならだけ(1644m)、大笠山おおがさやま(1822m)、笈ヶ岳おいづるがたけ(1841m)、仙人窟岳せんにんいわやだけ(1747m)、国見山くにみやま(1680m)、瓢箪山ふくべやま(1637m)、三方岩岳さんぽういわだけ(1736m)
笈ヶ岳は里から一番遠いところ
雪の季節に3日かければ来られるけど、その3日がなかなか休めない現代日本人。このときもやりくり調整して作った3日だった。職場調整と、相棒と、その家族の同意と。そして天候と体調。これらがすべて揃って、美しく描いた計画を実践できる。この立案も相棒松原氏。
イグルーは、メインの山が最も格好良く見える所に建造したい。歩きながら近づいて、「ここだな。前でも後ろでもなく、ここだ。」写真を撮る、三脚を立てるときと同じ。
イグルーを例によって短時間で作ってしまって、夕暮れの小ピークでブラックニッカを飲む。紅く染まりゆく白い山並と、まだ樹氷の落ちきらない、遥か稜線や谷に点在するブナの、光る木立がきれいだ。日が傾いて行くと、そこが広い海であることが分かってきた。日本海だ。線香花火の最後の一時のような紅い玉が沈んでいった。月は半月、ほぼ真上だ。
記録より
笈ヶ岳南面はちょっと難しい
白川郷へと向かう稜線は極端に細く、その谷底がクラクラするような高度感あり、そこをスキーでソロソロと乗り越える、結構難易度の高いルートになります。道もなく、人の手を拒む山として残ったのには理由がありました。
きょうはここまで、またね。
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