こんにちは、イグルスキー米山です。
きょうは私のふるさとの山、常念岳の2020年2月イグルー山行から。
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二の丸から本丸への黒門をくぐる時、さり気なく配置された2ショット。1592年、築城者・石川数正によって計算された風景美がこれだと思うよ!偶然では無いのです。
常念は松本平の王様
どんな鈍い人でも、冬の松本で北アルプスを見たら、あれはなんだ、かっこいい!と思う山。それが常念岳です。
「松本城天守は、常念岳が一番かっこよく見える場所に築城した」
「松本の城下町は、常念の左肩に槍ヶ岳が見える範囲に築いた」
というのが、戦国山城めぐりをしてきた私の、証拠の無い確信です。
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常念岳の南側の深い雪を進む。雪煙で前常念の長い尾根が隠れ、鋭鋒に見える。相棒ははるか先でラッセル中。
常念岳を、クラシックルートから登りたい
江戸時代1828年に槍ヶ岳を開山した播隆上人は、小倉の住人の案内で、信州側から槍を目指しました。当時のルートは今の島々、釜トンネルのバス道路ではありません。あそこは峡谷でした。
三郷村(現安曇野市)の小倉から直登して鍋冠山、大滝山から越えたと思われます。槍ヶ岳山荘の穂苅さんの書いた本では、当時このルートで上高地入りし、徳沢経由の飛騨越えルートが開発されたのだそうです。鍋冠までの夏道は少し前の国土地理院地図には載っていましたが今はどうでしょう。実際にはほぼ踏み跡が切れ切れで一般ルートとは言えません。
それでも大した藪ではないし、かなり良い登路だと思いました。問題は、雪の硬さの見込みを間違えスキーを持っていかなかったため、大滝山までに二泊もかけてラッセルをしたことです。
でも、時間はかかったけど、この間の針葉樹林はすごく雰囲気の良いところで、ズボズボのラッセルをしながらも幸せを満喫しました。これぞ深山幽谷。
大滝山で針葉樹林を抜けると、見慣れた常念岳が真横から姿を見せました。常念は、松本から見るときと90°違って前常念への吊尾根が出て、横に伸びた象の頭みたいな形になります。
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常念を背に築城するボク。
松本中から丸見えのポイントにイグルー
大滝山の長細い山頂部の一番北側にイグルーを作りました。そこから眺めるとウチの実家は、信州大学の敷地の南の、付属中学のヒマラヤスギの木立のやや右です。松本城本丸の松林や筑摩神社の杉林など、大きな森があると場所の目処が付きます。よく知っている町の俯瞰はいくら見ていても飽きません。背後には蝶ヶ岳の裏に穂高岳も見えるのですが、盆地を見下ろすのが楽しいです。
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黒くて焦げ鍋を伏せたようなのが鍋冠山。ここを直登した。この写真に見えている空との境はすべて歩きました。
住みかの町から見上げる空との境、山の稜線をすべてあるきたい
というのが、高校生の頃からの密かな願いでした。常念岳、蝶ヶ岳、大天井岳というような有名峰をつなぐ稜線は夏の縦走で道もあるので中学生の時に歩いているのですが、鍋冠や黒沢山というようなシブシブの山嶺は、今だからこそ歩ける大人の山なのです。ようやく故郷に帰って、着手できるなあ、と思いました。
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松本平を見下ろす常念岳直下のイグルー。日が暮れる時、常念の影が盆地を東へ進む。右上は美ヶ原。黒い岬のようなのが犬甘城山の丘陵。遠くやや左は浅間山、右の遠くは八ヶ岳。
常念岳直下にもイグルー
翌日4泊目は蝶ヶ岳の冬季避難小屋で防風を避けているうち、ここで泊まるか、となり、その翌日に常念を目指しました。山頂からの下りで、もう一回、松本平を見下ろす所にイグルーを作って5泊目に泊まりました。このあたりには、学生時代にも北海道から登りに来て、イグルーで泊まりました。1989年でした。
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朝一番の路線バスで松本駅へ。常念岳が黄金色に朝日を浴びる。登った山を町から見上げる楽しみ。
住む町から見える山に登ったあとは
日々山を見上げて、「あそこを歩いた」、「あそこにイグルー作った」、と思い出します。バスを待ちながら、信号待ちで立ち止まりながら、常念を見上げる。これが松本に住む魅力です。
きょうはここまで。じゃあね。
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