こんにちは。イグルスキー米山です。
イグルーをやってみたいという人は多いし、やってみて面白かったという人も多いのですが、私のように30年続ける人がほぼ居ないのはなぜだろう?と問いを立ててみました。
イグルーはエコすぎるほどエコである
ミニマリストっていうんでしょうか、最近は。「最小限持ち物主義者」です。テントフリーだから軽いです。あんまり言いたかないけど「エコ」です。現地調達、現地残留の雪ですから。しかし、もしかして、その思想的な潔癖性が重いのだろうか?いやでもさすがにそこではないでしょう。
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白山縦走5泊目、野谷庄司岳北のコルで。タンネの気持ち良い平地で長い山行を振り返りつつ泊まる。2021.3
イグルーは手間であるように見える
テントは一見楽です。整地して広げてポール入れて、天気が良ければこれで終わりかも。ただし、先週の5月連休のように、春のつもりで行ったら、思わぬ豪雪で一晩中テントが潰されないように雪かきを続けなければならないこともあります。もしそんな天気めぐりなら、ブロックを立てても何しても、眠ることはできないでしょう。そんな大げさなと思うなら、そんな状況をまだ知らないだけです。やはり「テントではいつか痛い目にあうことを知らないのだ」と言うのが私の結論です。何も自分で経験しなくても、昔の遭難記にたくさん出てきます。
イグルーを「サボる」
前にイグルー講習をした後輩から、「最近イグルー、サボってます」という返答を聞いて、なにかおもしろいと思いました。「サボる」というのは、英語の練習やトレーニングやなにかの、ちょっと億劫なものに使う言葉で、やはりちょっと億劫なんだな、と思いました。
味噌汁作りにたとえてみる
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調理台の前に下から煮干し、昆布、味噌の瓶。毎日の定番なので手を伸ばせば良い場所に定位置。中身も見えるガラス瓶。
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寝る前に鍋に煮干しと昆布を入れておくだけ。山用の鍋は取っ手がたためるので数回分の味噌とく前の汁が冷蔵庫に入って夏場は助かる。味噌は食前に椀の中で溶く。
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小さい煮干しタイプなので、取り除きもせずそのまま食べます。昆布も刻んでそのまま食べてます。
今思いつくいちばんふさわしいたとえは、味噌汁作りに例えることかもしれません。
私は朝昼晩と三食自分で料理するのが好きで、単身先でも、帰省してもやっています。味噌汁のダシは昆布と煮干しで取るのですが、これを面倒だと見る人が意外に多いと思います。
面倒ではありません。昆布と煮干しをすぐ手にとれる所の広口瓶に適切な大きさに切って入れておいて、寝る前に水を張った鍋にぽいぽい入れて置くだけ。朝は煮えたら取り出して、他の料理に使うだけ。ほんだしの顆粒をひとさじ入れるのとほとんど手間は変わりません。つけておく時間が長いだけです。
慣れてみれば簡単なのに、できないと思って便利な顆粒を使う人は多いです。もちろん顆粒のダシもとても美味しいし便利だけど、あれは「誰かが作った商品の味」。昆布、煮干しのダシとは別物です。海から来た懐かしい感じの風味や、舌触りに与えるちょっとした粘度なんかも違います。ダシ顆粒も意外に高価で値段もそう変わりません。つまり、ああ疲れた、もう面倒くさい、と顆粒ダシを使うときは、昆布煮干しダシの威力も魅力も深く知らないだけなのではないかという気がします。
知ってしまえば抜けられない簡潔さ
味噌汁もそうなのですが、私はもはや、面倒だから顆粒ダシに戻るということは無いです。ダシとりも実は専門家によればいろいろ面倒です。昆布は沸騰する少し前に引き上げろとか、汚れを乾いた布でふけとか。でもそこまでやらなくても十分美味しくできます。
イグルーも先住民レベルに作るのはすごく難しいです。でもイグルスキー式は、手抜きダシ取り味噌汁のように手間いらずのうまいとこ取りなので、誰でもできます。今さら顆粒ダシにもどる理由がありません。年々手抜き術に磨きをかけています。
イグルー好きは手作りの好きな人かも
何十人かに講習してみて、なんとなくですが、料理が好きな人や、工作が好きな人はイグルー山行に親和性があるような気がしています。まあでも、作ってみればどんな人でもウキウキするものですけどね。
きょうはここまで。またね。
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白山4泊目。黄昏のイグルー。疲れ果てて眠る。
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