イグルー長期山行の気づき

ある日のイグルー
夕日を浴びる二連イグルー。毎日行動を終えて40分のイグルー作り。苦じゃない。

イグルーは長期山行に適している

6泊7日のイグルー長期山行に行ってきました。標高1000mほどの越美国境山地です。日本海が近いのでこの季節だけは高山並の樹林限界の景観で、しかも人里から遠いので誰にも会いません。携帯電波もほとんど不通。イグルーの強みは、雪洞やテントと違ってどこでも泊まれること。今日はもうガスで視界が厳しいからここで泊まろうとか、落っこちて足を痛めたからその場で泊まって体制を立て直そうとか、泊まり場の制約から自由なので圧迫感がないのです。10泊11日分も日程を用意しているから、完全に自由です。山頂でも、絶壁の雪稜の上でも安全に泊まれます。

左が母屋、右がトイレです。トイレは背が高いほうが立ち上がれて使いやすいです。これはうっかり高くなってしまったのですが。

トイレイグルーを併設

今回は二人だったので、毎日イグルーの母屋を私が作り、その脇にもうひとりが同時にトイレ用を作りました。足元からのブロックだけで作るのでそれぞれ進めて、出来上がったら下でトンネルでつなげ〼。トイレは小さめでもいいけど、立ち上がってズボンを直したりするのに、ちょっと高い屋根に作ると使いやすいです。イグルーというのは一人一個ずつ作ったほうが良くて、共同でやるとうまく行かないことが多いです。それに外で待っていると寒いけど、作っていれば体が温かい。

朝イチで、メシより先にフンをしたいような場合、トンネル経由でトイレに行けるので大変便利。吹雪の朝などは助かります。女子用を分けるのもよし、人数分のトイレを放射状につけても良いです。トイレイグルーの隙間を完全に塞がない場合、トンネルの入口はスキマ風が寒いので、使うときまで壁を締めておきます。もちろん単独泊なら、母屋でトイレすれば良し、自由です。スコップで20センチほど掘った穴にフンをして、上から雪をかけて固めれば良いです。フンをするなら、キャンプ指定地や登山道の近くではなく、無雪期にはヤブになるようなところに作りましょう。

イグルー作る間に寝袋などを後ろの立ち木にビレーをして乾かしています。こんなに晴れていなくても、吹雪でも風があれば乾きます。

濡れたものは風の中で乾く

一泊なら寝袋が濡れてもいいですが、長期だと乾いてほしいですね。濡れたものが寒い風の中で乾くのを知っていますか?日光があってもなくても、気温が低くても高くても、風が吹いている中に濡れた寝袋などをビレーを取って干しておくと、すぐ乾きます。イグルー作る間にパリパリになります。不思議です。

テーピングテープは足の靴ずれや各種ケガのリペアに必須。針金も長期山行だと出番あり。

長い山行では修理具の出番がある

北大山岳部では長期山行中にスキーなどが壊れたときの修理のために皆針金をストックに巻きつけています。私のストックにも40年前から針金が巻きつけてあり、長く活躍しませんでしたが、今回はこれに出番がきました。ストックの輪が取れて無くなったのです。短い山行ならこれで我慢しますが、一週間も輪無しでは、ラッセルもできません。針金とテーピングテープで応急修理し、最期まで持たせました。

雨が降るかもと、タープを掛けておいたら粉雪だった。どちらにしても快適。ちょっと暗くなるけれど。

タープを使うと快適

イグルーは雨に弱く、せっかく屋根を作っても、溶けて落っこちますから、春先、夜中の雨が予測されるときは周りの壁だけブロックを立てて、屋根はタープを張るという方法を使います。しかし厳冬期のこの季節でも平気で雨が降るようになったのが最近の温暖化です。この前、イグルー愛好家仲間が、雨に備えてイグルー全体にタープをかぶせて快適だった記録がありました。今回実践してみたところ、雨でなくても、隙間からの雪の吹込みもなくなり、気温も保温され、かなり快適でした。風のある夜はバタバタと音はうるさいですが、これは快適です。私のタープは4人用で500gのものです。

柿の種70gで330kcal、フルーツグラノラは74g326kcalこれにチョコレートやかりんとうを足します。左端の容器は熱で変形して逆さでしか立たなくなった黒霧島。

行動食の容器について

私の行動食は、焼酎(黒霧島など)の広口ボトルに柿の種やグラノーラをがさりと入れて、上着の胸ポケットに突っ込んで置きます。水も。気温が低いときなど、いちいち大きな手袋を外したり、25kgの重いザックを下ろしたりしなくても一口ずつ口に入れ続けるのが重要です。これが面倒で行動食を食べなくて、突然バテたことがあります。以前は一日分ずつポリ袋に分けていましたが、厚い手袋をしていると袋の開け締めも厄介です。広口ボトルは、手袋のまま蓋を回して開けてがさっと口に運ぶだけ。日々の詰替も、毎晩大袋の中に容器を入れてがさっと掬えばOK。口が広いのがポイントです。コンビニで一番安い焼酎ボトルは120圓でした。

ちなみにこのボトルに夜70℃くらいのお湯を入れて、象足の中に入れて寝ると、足先が暖かくよく眠れます。容器の耐熱温度が70℃で、100℃を入れると、底のところが変形しますが、穴はあきません。中身は翌朝飲むなり行動中に飲むなりします。一つを両足で挟めばOKです。

商品袋をそのまま縫い付けたけどスライダーは低温に弱く割れてしまった。要改良。

ローソクに変わりソーラLED

ローソクも長期だと結構ずっしりになるので、今回はソーラ充電のLEDにしました。快適です。4泊までは持ちましたが5泊目に充電切れでしょぼくなりました。ザックの雨蓋の上に日中の歩行中にも充電できるよう、購入時の半透明ケースを縫い付けたのですが、低温での耐久性が悪く、スライドジッパーがこわれてしまいました。また改良しなくては。

イグルーを作りたくなる場所は、景色の良いところ。出入り口の蓋をはやく締めて中でくつろぎたいのと、いつまでも外を見ていたいのと、迷うところ。何か良い方法を考えよう。

山行記録: 越美国境・土倉岳、三国山、三周ヶ岳、美濃又丸、笹ヶ峰
2023年02月23日(7日間) 東海, 積雪期ピークハント/縦走 / yoneyamaの山行記録

↑イグルー6連泊の長距離山行の記録です。温帯住人で6連泊は世界記録かもしれません。イグルスキーの経験では最長です。来年はもっと伸ばしますよ。

きょうはここまで、またね。

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