こんにちは!イグルスキー米山です。
きょうはぜひ紹介したい写真本があります。カナダ北極圏のヌナブット準州、エルズミア島の父子トゥーキルキー・キグクタクとジョピーに作ってもらう1981年撮影の写真集。作者はドイツ人のウーリ・シュテルツァー氏。
まずはキチンとしたブロックを切っています。
どうですか?この丁寧なブロック。雪のコンディションは最高の場所を選んでいます。気温が低くて、適度に締まっています。トゥーキルキー氏のことば「いちばんたいせつなのは、良い雪を見つけることだ。やわらかすぎても、かたすぎてもいけない」とあります。良くない雪では、この製法、うまくいきません。この大きさで重さ8〜12kgとあるから、「かるかた雪」です。でも基本は同じです、イグルーには、丁寧に切った大きなブロックが必要です。
本場技術は、お手抜きなし。
登山用の米山式と違ってブロックの積み方が大マジです。誰でもできる「壁厚・中ずらし式」や、「細長ブロック橋掛け式」ではなく、板状のものを整形して、渦巻状に立てて並べ緻密に傾けてはめていく高等技術。これは特訓がいりそうです。接合面の幾何学的な整形技術は妥協なき職人級です。息子が、父のワザをじっと見つめている、というのにも納得します。これぞ文化遺産でしょう。私も始めはこれに挑戦して、敗退しました。あっちが崩れ、こっちが崩れてしまいます。
煙突と、窓、玄関イグルーがかわいい
大人数で使うから結構大きめ。なのに2〜3時間で作るそうです。中で炊事すると熱気がこもり、米山式なら穴だらけなので問題ないのですが、トゥーキルキー氏のイグルーは煙突をつけ、あかり取りの窓をあけ、ガラスの代わりに海氷をはめこみます。学生の時雪洞の停滞であまりヒマなので鍋の底に雪を溶かした水を凍らせ、それを少し温めて丸い氷ガラスを作ってはめたことがありました。光は入りますが、景色までは見えなかったです。「入り口問題」は、もうひとイグルー作って華麗に解決しています。これはこんど試してみようか。ブロックさえとれればたいして時間もかからなそう。前室付きのイグルーができました。下の写真、窓と煙突が見えますね。いつかイヌイットに教わりにエルズミア島へ行きたいです。
「イグルー」をつくる
ウーリ・シュテルツァー:写真と文
千葉茂樹:訳
あすなろ書房1999年
きょうはここまで。じゃあね。
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