教え3・屋根が落ちないワザ2つ

イグルー・作り方技術
イグルスキー作。4人用。所要時間は1時間ちょっと。雪重かった!

↑どうですか?このひどい格好のイグルー。屋根が潰れて、平らになっているけど、落っこちて来ないのかなと思いませんか?イグルーはこんな屋根でも、気温さえ上がらなければ、カチンコと固まってくれます。雪同士くっつく不思議な習性があるのです。

はじめは本場北極圏人のイグルーみたいに幾何学的なパネルを、切り口に角度つけて傾斜をつけてはめ込んで載せて見ましたが、難しくて駄目でした。手を離せばブロックがぼろぼろ落っこちます。ネット動画でエスキモーの実演見て、本当にやってるんだ!と信じられませんでした。

重力に逆らって屋根が落ちない技術が2つあります。長年やってようやく考えつきました。

大きな1段目の上に大きな2段めを載せて、ぐっと中へ寄せる

4人用イグルー2段め、全部中にせり出しています。

その1・ブロック壁の幅を厚くして、載せるときは傾けず水平に置き、内側へせり出させる。

壁が傾いていくからブロックの上面も傾けてしまうと、滑り落ちやすいですよね。あるとき気が付きました。傾ける必要ないじゃん!ブロック上面はあくまで水平にし、その上に載せるときは平らなままぐぐっと内側へせり出します。壁の厚みが薄かったり、ブロック表面が凸凹だとこれができません。そのためにも1段目と2段めは大きくて、接合面の平らなブロックが必要なのです。じゃがいもみたいなのはいくら積んでも駄目です。ブロックが幅30cmあれば、10cmは内側へ出せます。

コーナーに橋架け。細くて長いのは真ん中が折れやすいので、その上に積む時は真ん中に重いやつを載せないよう気をつける。

その2・長くて細いブロックで橋架け式に屋根を塞いでいく。 

これを発見して、ようやくイグルーを安定的に作れるようになりました。「その1」のまま3段目、4段目積んでいくと、厚いブロックは重いので、持ち上げるのも大変だし、不安定で落っこちてきます。だから3段目以上は、その大きな30cm×30cm×50cmのブロックを縦割りにノコで切って15cm×15cm×50cmとか、20cm×20cm×50cmとか、とにかく50cmの長さは活かして、細く割ります。なるべく雪の層と平行に切るとより折れにくいです。

そうすると軽くなって、ホイホイ屋根が塞げます。上の写真では50cmといわず1m近くありますね。この頃になると、ブロックは割と深いところから切り出しているので、脆くなく、軽く硬い雪質(かるかた雪)になってきているのも都合がいいです。

できれば隙間が開かないようにやってもいいですが、山では急いでいるのでとりあえず穴だらけのドームにしてしまい、あとから塞ぎます。室内から見上げると、多角形の模様がきれいです。

こういう屋根の建築が、コーカサスのグルジアだったかイングーシかダゲスタンだったかカラチャイ・チェルケス共和国あたりにあるそうです。建築家の旧友に教わりました。「ラテルネン・デッケ」っていうそうです。命名はドイツ語ですね。ラテルネは明かりの意味です。

イグルー天井、ラテルネンデッケ構造。月明かりも、星あかりも。

書いてしまえば簡単だけど、ここに至るまでに私は10年以上遠回りしていました。惜しげもなく教えます。

さて次は、理屈はそうでも、細長いブロックを壊さずに掘り出すワザも重要ですよね。以前は、簡単に掘り出せる雪と難しい雪があると思って、難しいところでは諦めていました。でも最近はそんなところでも切り出すワザを見つけました。この写真は先週の栂池です。もうすっかり重い雪になっていますね。これでも作れましたから。ちょっと疲れますけど。

次回あたりにそれを話します。

きょうはここまで。またね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました