こんにちは、イグルスキー米山です。
講習ではいつも、三段目以上は穴だらけのイグルーを作って、あとから埋める方法を紹介しています。雪山で実用するには、一刻もはやく屋根を塞いで、作ってしまいたいという事情があるからです。
本当は、漫画のエスキモーみたいにきれいな積み上げのかっこいいやつを作ってもいいのですが、何せ急いでいて、ハードな行動のあとに疲れていて早く腰を下ろして靴を脱ぎたいし・・・というわけでスピード第一で作ると、まずは隙間があいていても壁を作って屋根を塞ぎ、あとからそこにブロックのカケラを載せたりかぶせたりしていくという方法が早いのではないかと思っています。案外美しく作っても40分でできるなら、それでも良いのですが。
穴を塞ぐときのコツ
穴を塞ぐときは、ブロックの出来損ないや、一段目や二段目の特大ブロックの角などをノコギリで切り取って、それを隙間にあうように置いたり、かぶせていきます。厚さ5cmくらいでもいいので、かけらでないと、サラサラ落ちて行ってしまうし、風で吹き飛ばされてまた穴があいたりもします。気温の高いベシャベシャ雪だと、スコップですくってモルタルみたいにかけてもいいときもあります。注意点は、隙間に無理やりかけらを突っ込んで押したり、叩いたりすると、微妙なバランスで組んである屋根が崩落して、また20分ほどやり直しになったりするので、やさしく行ってください。しばらくすればくっついて強くなるのですが、できたてのホヤホヤのときは不安定です。
気温が低くない、風も無いときは無理に完璧に塞がなくても良いです。
眠れない夜に、隙間から見える一等星や月明かりなども風情があります。そよ風も気持ちいいときもあります。風流を楽しみます。湯気や湿気も抜けるし、タバコの煙もすぐ消えるし、まあコロナ的には換気もバッチリですね。タバコの人は立ち上がって天井付近で吸うと、分煙にもなります。
風が強い日は、丁寧に塞ぎます。
どんなに塞いでも、風が強いと少しだけ吹き込んできます。寝場所を決めたあとでも、気になるようなら、内側からでもノコで整形したブロックをはめて対処できます。面倒くさくて放って置くと、雪が吹き込んで積もったりもします。昔の旧恵迪寮で漆喰壁と柱の隙間から雪が立てた三角板のように積もっていたのを思い出しますよ。
例えば富士山みたいに、降雪が極端に少ないのに風がすごく強い山では、この隙間からサラサラと冷たいグラニュー糖が吹き込んできて、これはどうしようもありませんでした。朝起きたら何センチも体の上に積もっていました。
逆に知床では、まる二日の暴風雪で寝ていたら、イグルーが、上まですっぽり埋まってしまって、天井部分が地面になってしまうほど吹き溜まり、静かな空間に変わってしまいました。出口が何メートルも先まで吹き溜まりましたが、吹き溜まりのフワフワ雪ですから、どうって事はありません。
この二つは改めて、「困ったイグルー」コーナーで紹介します。
でも中には性格がきちんとした人などで、「とりあえず穴だらけ製法」ではなく、「美しく40分製法」もできるかもしれません。要はブロックを丁寧に切って、整形する手間を早く済ませればよいだけなので。色んな人に経験を増やしてもらえば、イグルスキーよりよい方法はまだまだ未発掘で、もっと上手な人もでてくるとおもいます。
次は本場エスキモーのイグルーを紹介しようかな。
きょうはここまで、またね。
コメント