イグルーを雪洞と比べると

イグルー助かる話
幅1.5mの細い稜線。ここだけ平らだったので作った。3人には結構小さかったけど、中はテントくらいか。

こんにちは、イグルスキー米山です。

「イグルーです」というと、「雪洞ならやったことがある」という人は結構います。冬山を何年かやった人ならば。雪洞はテントに比べて安心のねぐら、悪天をやり過ごすのには最適です。私もイグルー以前によく作りました。20泊くらいかな。今回は雪洞との比較を試みます。

利尻南稜4月1992年。幅1.5mの細い稜線。写ってないけど両脇は絶壁で、イグルーの向こう側に行くのに苦労する狭さです。ここしか泊まるところなかった。

雪洞に技術は要らない

イグルーをやったことのある人はほとんどいないのに雪洞経験者が多いのは、高い技術が要らず、誰でも力任せで掘ればできるからです。これがイグルーに対する雪洞の唯一最大の利点かな。イグルーは、これまで書いたように、初挑戦ではなかなかできません。

利尻山南稜バットレスの取り付きで作った。下の人の左脇にイグルー。ここも狭かった。ほんの小さな吹き溜まり。

作れる場所:雪洞、積雪2m必要×イグルーはどこでも

雪洞は、雪庇のできるような、稜線の傾斜側など、積雪が2mはないとできません。結構限られる場所です。イグルーはそういうところももちろんですが、まっ平らなところでも作れるし、積雪が30cmで、一段取ったら地面が出ても、極端な話できます。周りから広くブロックをとって集めればいいから。イグルー面積の3〜4倍も敷地があれば十分です。万一何か事故が起こったとして、そこでその場でシェルターが作れます。利尻山の南稜で幅1.5mの細い絶壁の上でも作りましたよ。

左・雪洞は深い雪がいる。中・雪のない所のイグルー、右・雪の多い所のイグルー

製作時間:雪洞2時間×イグルー40分

雪洞は時間がかかります。3〜4人用の穴を掘るのにどうしても2時間。狭い入り口から中で広げるので、始めは作業も一人です。切り出したブロックを、イグルーは壁に使えるけど雪洞は捨てるだけだから、進みようも倍違うというわけです。

雪洞は体が濡れる×イグルーはさわやか

雪洞ホリは狭いところで寝転がったり座ったりで、すごく体力使うので交代しながらやりますが、中の人は湿気と汗で体が濡れ濡れになります。私の学生のころはゴアテックスは貴族しか買えなかったので、カッパを着てやりました。イグルーは、オープンエアだから全然濡れません。まあ吹雪のときは逆にシビアですが。イグルーは、他のメンバーもブロックが切れる人なら、外からバンバン切って使えますから、更に短時間になります。外からブロックを供給する見込みのときは、床下は3段も下げないで済むので、始めの直径を1.5mではなく1.8mくらいの大きめに始めましょう。

雪洞は真っ暗×イグルーはほんのり明るい

穴が空いているから昼か夜かわかるし、外の天気も気配がわかります。雪洞は閉じたら真っ暗で、外に出ないと何もわかりません。

雪洞は酸欠あり×イグルー通気良し

テントや雪洞は酸欠があります。ストーブの火が消えた、とか、夜中に何故か息が荒くなって目が覚めたとか。あわてて穴をあけるということもあります。イグルーは穴だらけなのでありません。タバコもおならも早く消えます。今はやりの換気もバッチリです。

天井の沈下 雪洞あり>イグルーなし

まあ学生じゃないから何日も停滞することも無いかも知れませんが、雪洞で長居すると、何日目かには天井が低くなって圧迫感があります。イグルーは3泊くらいしたことがありましたが天井が軽いせいか沈下はそれほどありません。暖かい季節は駄目でしょうけど。

***

というわけで、イグルーの圧勝です。作れるようになってしまえば、雪洞に戻る必要がありません。がんばって身につけてください。

きょうはここまで、またね。

山行記録: 利尻山 南稜
1992年04月24日(4日間) 道北・利尻, アルパインクライミング / yoneyamaの山行記録

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました