北大山岳部のビバーク訓練
北大山岳部は正月休みの長い山行と春休みの長い山行、その間の週末を使った週末山行で、冬はすごーく忙しい。この時期は一年目部員対象の基本練習+サバイバル練習があります。その機会にイグルー作りを身につけます。イグルスキーのイグルー技術は日進月歩して世界最先端なので、以前はやっていたけど最近はこっちの方がいいや、というのがいくつかあり、それを披露しに行きました。2年目以上の
学生は基本的にみなイグルーくらいすぐ作れるんですよ、すごいでしょう。
そして、作ったイグルーでテントフリー、寝袋フリー、ストーブフリーで一晩耐える練習をします。「そこにあるもので凌いで晴天を待つ!」カッコいいですよね。山登りの戻るべき原点です。
最新イグルスキー式は、クズ雪出さずの掘り下げ式
イグルー以前は、技術的に楽な雪洞が主流だった名残で、急斜面の際にイグルーを作り、最後に整地した時出る「くず雪」を掻き出すというのがありました。しかし最近のイグルスキーの見解では、
★ブロック作りをトレンチ法で丁寧にやれば「くず雪」は出ない
★最後に内部を広げまくった時に出る「くず雪」も地面の下に敷き詰めてしまえばそのうち沈んでなくなる
という点を伝えました。次に詳しく話します。
★ブロック作りをトレンチ法で丁寧にやれば「くず雪」は出ない
イグルー作りの決め手は「角と平面のきいた、丸くない大きなブロックを丁寧に切り出すこと」でした。こうでないブロックは崩落の元です。このためにノコの切れ目に気を配れるかどうかが分かれ目です。こうして石切り場か氷切り場みたいに角材が出れば、くず雪がでませんね。くず雪を外に掻き出すエネルギーで疲れずにすみます。そして前に触れた、「三角柱切り出し法」によって、部屋内側面の拡張も果たせます。これでかなり「くず雪」をなくせます。側面の三角柱とその下部のブロックは細長くとれるので、屋根材に適しています。
以下過去の記事ですが繰り返し重要なポイントです。
★最後に内部を広げまくった時に出る「くず雪」も地面の下に敷き詰めてしまえばそのうち沈んでなくなる
側面からのブロックを使ってイグルーの屋根ができてしまっても、まだ数人寝るのに十分な広さがないときは、側面の壁をスコップでバンバン削ります。見かけは一人用のイグルーでもこの作業で軽く3〜4人用に拡張できます。その結果出る大量の「くず雪」を、出入り口からスコップで出すのは大変です。こういうときは部屋の中央に盛り上げて、ズンズン踏んづけたりズンズン寝転がったりして、床下に沈ませてしまいます。結構これで広いスペースになるし、何時間かみんなで過ごしていると、どんどん下に沈んで行きます。疲れちゃうからこれでいいのだ。
平地下掘り式は、どこでも作れる
私も以前は、急斜面のヘリは雪庇もできるし雪が多く作りやすいのに対し、平地下掘り式は雪のかき出しが厄介そうで避けていました。しかし、このように「くず雪」処理をこなすと、もはや雪原の真ん中でも作れて、イグルー作りの自由度が上がります。
要は確かな切り出し技術、これに尽きます。今回ほとんどのメンバーは切り出しを器用にこなしていて、特にアドバイスは不要でした。
今回の札幌行きでは、ビバーク訓練の学生とはおさらばしてOB4名はヘルベチアヒュッテに泊まって翌日は白井岳の北面を滑る日帰り山行してきました。以下にヤマレコ記録です。
コメント