北大山岳部と中札内村
中札内村は、最も長く深く日高山脈に通っている北大山岳部と連携をしています。往復の計画ではないためクルマ入山ではないことが多い北大山岳部の山行では、林道終点までのアプローチが結構大変です。その入山下山の便宜を地元ならではの、できる範囲で少々はかってもらう一方で、村民にとっては地元であるのになかなか足を踏み入れられない日高深部の魅力を山岳部員に講演会などで伝えてもらうというものです。
中札内村と北大山岳部の関係は創立当初の100年前から深く、1940年のペテガリ岳厳冬期初登遠征の雪崩遭難の時や、1943年の初登成功の際にも、中札内分教場の男澤先生はじめ、地元の人々に並々ならぬ支援を頂いてきました。
日高山脈の国立公園化に向けて、地元でも日高を知りたいという動きの一環での提携です。日高は未整備天然の領域が広く、地元の人といえども現代社会にあっては相当な山好きかつ相当休みの多い人でなければ深部へは行けません。とても良い試みと思います。
山岳部員がイグルー講習会
イグルーづくりは誰にでも興味を持ってもらえる入り口だと思います。それに日高のペテガリ岳はイグルー史上の聖地です。1943年の厳冬期初冬記録は、イグルーなくしてはできませんでした。中札内村民にこそ、イグルー文明に加わって頂きたいです。
世界遺産とか国立公園とか、いろいろ政治的、経済的に大きな機会なのかもしれませんが、地元の人がどれだけその天然世界を理解し体感できているかが大きいと思うのです。体感できていない人が、政治的、経済的な話を進めてしまうことが多いだけに。青森に住んでいた時、白神山地の最深部には一般の人には時間的、技術的になかなか行けないために地元の人にさえその価値が共有できていないという印象がありました。元々、力量ある人しか入れなかったエリアでの、世界遺産登録に伴う入域規制で、さらに益々その天然世界へのアプローチは阻まれた感がありました。
深い天然世界を知るための入り口として子どもたちにイグルーを体感してもらいたい。私も強くそう思います。
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